いままではNEWSの歌と演出が好きだと思っていた。
歌。楽曲が魅力的で、ジャンルが幅広い。一人ひとりの歌声を大切にしており、伝える力が強い。
ライブ演出。NEWSといえばそのライブごとにテーマがあるコンセプトライブだが、ストーリー仕立てあることにも注目したい。詳しくは省略するけど、そのストーリー部分に歌をうまく絡めて使っている。
また、ライブ中の映像は、アイドルらしさより、NEWSの思うかっこよさ・統一感を大切にしている。
けれど、この間のテレ東音楽祭を見たときに、違う言葉が思い浮かんだ。
もちろん歌も演出も好き。けど、もう少し広い言い方で、NEWSの「見せ方」が好きなのかもと。
その日披露される曲は、出番直前に分かった。『チャンカパーナ』と『ビューティフル』。
『チャンカパーナ』は、4人時代最初のシングル曲であり、いまやNEWSの代表曲。横並びの4本のスタンドマイクの前で歌う曲。手越くんが脱退したあとに披露されたことはなく、一瞬身構えた。代表曲と言っても、3人になって披露されるなんて。
NEWSは横並びではなく、画面下側からぴょこんと飛び出して、アップで映った。カメラは水平方向に手動でくるくると動かせる…2018年のEPCOTIAライブで『チャンカパーナ』が披露されたときの演出だった。これには驚いた。
3人はニコニコとカメラ動かしながらカメラのまわりを歩き、シゲからまっすーにカメラがパスされ、小山くんはスルーされ…楽しそうに歌う。
4人のイメージが強いから、私のように身構えてしまった人も多かったと思う。それをこんな方法で見せるとは。
さらに、最後カメラをパスした先に、レンタルなんもしない人が現れ、驚いた。思わず「あっ!」と声が出ていた。
NEWSは、レンタルさんが見守る中、正面のステージでビューティフルを披露。曲の終わる頃「NEWSの歌を聴いてほしいとの依頼を受けた」というレンタルさんのツイート内容がテレビに映り、ステージは終わった。内容は実際にレンタルさんのTwitterでツイートされていた。
「テレ東音楽祭でNEWSの歌を聴いてほしい」という依頼。視聴者へのサプライズっぽい感じで登場させられたが、僕が一番びっくりしてると思う。とにかく最高でした。
— レンタルなんもしない人 (@morimotoshoji) September 30, 2020
二重に仕掛けがあるステージ。4人時代の曲への気配り。NEWSらしかった。
この日は、まっすーのドラマ『レンタルなんもしない人』の最終日。どこまでがNEWS側の演出かは分からない(多分ラジオでそのうち教えてくれると思う)。でも、こうした見せ方のポテンシャルを持つのがNEWSだと思った。
思えば、はじめて3人のステージでもそうだった。6月のジャニーズ配信ライブJohnny‘s World Happy LIVE with YOU。手越くんが活動自粛中で、3人でのステージだった。緊張して、祈るようにライブを待っていた。NEWSの歌は手越くんの占める部分が大きかった。大丈夫だと思っていたけど、パフォーマンスが低下する可能性だってあった。見るのがこわかった。
ライブは想像していたものとは違った。3人は手越くんのパートを一部歌わず、残した。
一曲目『クローバー』。開始すぐ、メンバー作詞作曲のリレー形式のこの曲だと気づき、驚いた。一番最後が手越くんのパートはどうするのかと。前半は歌わず残し、後半のこの部分を歌った。
ずっと同じ景色見てきたね
君がいるから幸せ
幾千の悲しみや別れ乗り越えて
永遠に君に幸あれ
単にこの歌詞を歌ったことも充分感動的だが、実際はもっと複雑なことをしていたと思う。
この方法を取ったことで、続く曲すべてが、その場にいない手越くんへのメッセージになった。MCはなくて、言葉で言ったわけではない。けれど言葉よりも雄弁だった。周到で秀逸だった。
ラストの『U R not alone』。大サビの手越パートも歌われなかった。それまでの曲で表現されてきた思いと、3人の沈黙した表情。心を動かされて、泣いた。
ステージの使い方もよかった。『クローバー』ではステージ・客席と別の場所から登場した3人が、手越くんパートのインストが流れる中移動。センターステージに集合した瞬間、ペンライト風の客席ライトが中心のステージから外側に広がって点灯。『エンドレス・サマー』はトロッコに乗って移動しながら披露。
会場全体をうまく使っていた。そのせいかカメラも工夫され、飽きない画になっていた。
見終わって、「ああ、私の好きなNEWSだ」と思った。見せ方が上手なのは知っていたが、それが手に取るように分かった瞬間だった。「手越くんに合わせた高い音程の曲ばっかりだから歌えなかったらどうしよう」とか考えていた自分が、いま思うと恥ずかしい(ご存知のとおり、NEWS3人が、この鬼気迫るというか魂のパフォーマンスをしていたわけが、翌日の夕方に分かったのだった…ぴえん……。。)。
4人で披露していたものを3人でやろうとすれば、別の方法で見せる必要も出てくる。そして、それは図らずもNEWSのいい部分を引き出している。
私は手越くんが退所して、4人でなくなることが、ショックだった。今後4人のNEWSを見られない寂しさも定期的にやってくる。けれども、「この先もNEWSは大丈夫そう」「応援できそう」と思えたのは、HappyLiveを見ていたからだと思う。NEWSには「見せ方」の実力がある。
4人時代の曲を歌割りを変えて披露すること、プロとして歌いこなすこと、STORYライブをすること。それらは素人が想像しただけで難しいことだろうと思う。
雑誌等でこれからの展望を語るNEWSもすごく好きだ。けれど、何よりもパフォーマンスで見せてくれる姿勢が好きなのだと思う。だから、形が変わったいまも安心して見ることができる。
いまは新曲を唐突なタイミングで披露したり、情報を小出しにしている状態。近々動き出すんだろうな。これから何を見せてくれるんだろう。とにかく待ってる。
(追記)
安心して…って書いたけど、やっぱりまだいまのNEWSを見慣れていないので、緊張はする。テレ東音楽祭のときもしてた。
ただ、心の奥では大丈夫と思ってるのだよ。